士業のためのHP制作マニュアル
士業が、ぼんやりとでも、「HP作ろうかな」「古くなったからリニューアルしようかな」と考えた時に必要な手順・抑えるべきポイントなどをまとめました。
- 今までHPを作ったことがない
- ネット関係はサッパリ分からない
- 今まで業者任せで、特に考えてなかった
そういった方でもご理解いただけるように、できる限り網羅的かつ簡単に書きました。
ご不明な点や、「色々考えるのは大変だから、とにかく一度相談したい」という方はご遠慮無くお問い合わせください。
【Step1】HP制作の目的を考える
4種類の主な目的
主な目的は4つ考えられます。
目的次第で、HPに何を載せるか・どれくらい費用が必要か・どういう業者に頼むかなどが変わります。
その後の方向性に影響するので、ここはしっかりご検討ください。
- ネット集客のため
- リアルのつながりや紹介などで依頼を増やすため
- 既存顧客から信頼を得るため
- 道案内や営業時間の案内のため
①ネット集客
ネット集客のポイントは、「Googleの検索結果で上位を取る」ということです。
そして、ある単語でGoogle検索された時に、自分のHPを上位表示させるための取り組み全般を「SEO対策」といいます。
SEO対策は、とにかく膨大な時間・労力・費用が必要です。
しかもSEO対策による集客は、既に大規模事務所やポータルサイト等が行っています。
これからSEO対策に本腰入れる方は、そこと対等に戦う覚悟と資源が必要です。
残念ながら、業者がパッと設定したり、忙しい業務の合間に取り組んで太刀打ちできるものではありません。
ですから、SEO対策にチャレンジすることはオススメできません。
小規模事務所であれば、なおさらです。
下記記事では、
- 士業はSEO対策で集客できるのか?
- SEO対策をした方が良いのか?
といった疑問にお答えしています。
②紹介などで依頼を増やすため
当事務所は、様々なつながりや紹介で確実に依頼を増やす、「事務所パンフレット」としてのHPをオススメいたします。
Google検索に頼らずとも、クライアント・同業者・他士業・仕事関係者・知人などからの紹介、SNS、異業種交流会、地域のコミュニティなど、様々なルートがあります。
そして、
- 先生への相談を考えたとき
- 先生のことを紹介されたとき
そういう時にHPがあれば、先生のプロフィール・実績・取り扱い分野・費用の目安・事務所の様子などを知ることができます。
それによって、確実に相談・依頼につながりやすく、他方、ミスマッチや誤解が生じるリスクも低減できます。
また、誰かが先生のことを紹介しようと思ったときも、メール・LINE・FacebookなどでURLを送れば良いのでスムーズです。
「ネット集客で不特定多数から相談を受けたいわけではないが、紹介などでしっかり相談につなげたい」という先生には、非常にオススメな方法です。
物を買ったりお店に行く際、「事前に調べる」ということが当たり前になっています。
これは、士業に相談する場合も同様です。
ですから、SEO対策・ネット集客をしない「紹介メイン」の士業でも、HPはきちんと作るべきだと思います。
この目的でHPを作れば、自ずと③既存顧客から信頼を得るため、④道案内や営業時間の案内のためという目的も達成できるはずです。
目的について、さらに詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
また、紙の名刺のように客観的な情報だけ書けば良いわけではありません。
下記記事では、その理由と「載せるべき内容」について解説しました。
【Step2】自分で作るか、業者に頼むか決める
自分で作る場合
WixやJimdoなどを使えば、専門知識が無くても、しかも無料でHPを作れます。
ただ、次のような注意点があります。
- デザインがアップデートされないことがある
- セキュリティやシステムがアップデートされないことがある
- サービスが終了してHPとドメインを失うことがある
- 解約するとHPとドメインを失うことがある
- デザイン・コンテンツ構成・ライティングなどが難しいことがある
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
WordPressを使って自作する方もいらっしゃいます。
サーバーやドメインは有料で用意する必要がありますが、テーマ(テンプレートのようなもの)は無料でもたくさんあります。有料でも1万〜3万円で良いものを買えます。
ただ、次のような注意点があります。
- メーカー作成のデモサイトは、良く出来すぎている
- 同じテーマを使っても、完成度には大きな差が出る
- 内容・配置・デザインは自分で考える必要がある
- 制作経験がないと膨大な時間が掛かる
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「とにかくお金を掛けずに、何かしらHPを作れれば良い」という方は、ご自身で作られても良いと思います。
また、最初から業者に依頼する方がオススメですが、最初はWixなどで自作して、軌道に乗ってから業者に依頼するという方もいらっしゃいます。
当事務所でも、弁護士の方からそういったご依頼をいただいたこともあります。
HPには士業紹介ページを作ると思いますが、そこに書くべきこと、プロフィール写真のポイントは下記記事で解説しました。
プロに頼む理由
先生方の専門領域でも、理屈上は本人でもできるものが多いはずです(裁判、登記、給与計算、各種申請など)。
でも先生方に依頼すれば、単に「時間を節約できる」だけでなく、「そもそもクオリティが全然違う」はずです。
HP制作は国家資格ではありませんが、やはりプロに頼むと違います。
見栄えが良いのはもちろんですが、目に見えない部分(システムやセキュリティ)も、専門知識がないと難しい面があります。
また、自分でHPを作ると強みや特徴が分からなかったり、読みづらい文章になることも少なくありません。
僕から見れば「そこは絶対強みですよ!」ということでも、ご本人にとっては普通のことなので、強みだと自覚されていないケースが何度もありました。
もちろん、時間を節約できるのも大きいです。
また、同じドメイン(URL)を使って全面リニューアルする場合は、プロに頼まないとリスクが大きいです。
理由としては、
- 一旦仮環境で作った上で公開しますが、その作業が比較的難しい
- リニューアル前に現行HPを消してしまうミスが結構ある
- 古いサーバーを契約していて、WordPress(=現在一般的なHP制作ツール)が入らない
- サーバーを移転する場合、その作業が比較的難しい
当事務所では、キャリア16年のエンジニアと協力して、適切な対応が可能です。
無料サービスで作るデメリットについては、下記記事でも解説しております。
時々、「自分で作ったので、素人っぽいHPで仕方ないです」という話を聞くことがあります。
でもHPを見る人は、そもそも自分で作ったのか分かりませんし、デザインや内容を大目に見るわけでもありません。
「仕方ない」と思っているのはご自身だけで、「HPにお金を掛けられないのかな…」と不安に思われるかもしれません。
また、「親しみやすさ」と「素人っぽさ」は違いますのでご注意ください。
【Step3】予算・デザインイメージ・載せることなどを決める
予算
予め広告費が決まっている場合などは、予算ありきで、できる限りのHPを作ることになります。
特に予算が決まっておらず、「とりあえず見積もりしてもらう」という場合でも、なんとなく「これくらいなら出せる」「これ以上は流石に出せない」という感覚は持っておくとスムーズです。
デザインイメージ・載せることなど
見積もりの際に業者に伝えると、より具体的な見積もりをもらえます。
いずれ考える必要があるので、漠然とでも、この段階で考えておきましょう。
デザインのことは全く分からなくても、理想に近いHPをピックアップしたり、「シンプル」「落ち着いた雰囲気」「アニメーションを多めに」「若年層をターゲットに」「シニアでも違和感のないように」といったイメージがあると話が早いです。
価格はどうやって決まるのか?
士業のHPであれば、主に次の要素で価格が決まります。
- 一からオリジナルで作るのか、既存のデザインテーマをベースにするのか
- ライティングや写真も任せるのか、自分で用意するのか
- 納品後は自分で修正できるようにするのか
- 問い合わせ機能を付けるのか
- スマホ対応も行うのか
- 何ページ作るのか
- 納期までの期間
ただし単価は業者によりますので、なかなか悩ましいところです。
同じようなHPでも、数十万の違いが出ることも珍しくありません。
ですから、複数の業者から見積もりを取るのも有効です。
【参考】料金シミュレーター
一時期SNSでも話題になったツールです。
シミュレーションしてみたところ、若干高めかなと思いましたが、割と相場に近い金額が出ますので、一つの目安にしてください。
費用体系に注意
- 一回制作費用を支払えば、あとは自分で修正できて、別途費用が掛からないパターン
- 一回制作費用を支払った後、自分で修正できず、修正のたびに費用が掛かるパターン
- 最初に掛かる制作費用は比較的リーズナブルで、その後月額費用が掛かるパターン
大体こういうパターンがあります。
実際に見たケースでは、月額費用が掛かるパターンで、契約を解除するとHP自体が消滅して、ドメイン(URL)も使えなくなるという大手業者もありました。
Googleからの評価はドメイン単位で行われますから、ドメインが使えないと、また一から評価を貯めなければなりません。
また、名刺などにURLを掲載するでしょうから、変更なども手間です。
最初のコストが低いのは魅力ですが、ランニングコストや解約後のこともしっかり考えましょう。場合によっては、かなりの費用になることもあります。
ちなみに当事務所は、①のパターンです。
※定期メンテナンスをご依頼いただく場合は、半年に1回5,500円(税込)を頂戴しますが、HPの修正はご自身で可能です。修正方法も無料でお伝えします。
※サーバーとドメインはクライアントにご契約いただきますので、その費用は定期的に掛かります(費用は契約先によりますが、当事務所がオススメするサーバー・ドメインであれば、合計で年間1万円(税込)に収まることが多いです)。
HP制作は消費ではなく投資です
- HPを作らずに済むなら、それに越したことはない
- 作るとしても、できるだけ安く抑えたい
そのお気持ちはすごく分かりますが、単に「支出が少なければOK」ではなく「リターン」との関係で考えるのがオススメです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【Step4】制作業者を選ぶ
業者の探し方
主な探し方は、3種類あります。
- 知っている業者に頼む(面識のある業者、SNSを通じて知っている業者など)
- 知り合いから紹介してもらう
- ネットで探す
どの方法が良いかは、ケースバイケースです。
①・②が安心感はありますが、一度声を掛けると断りづらい、相見積もりを頼みづらい、出会える数が限られるなど、一定のデメリットはあります。
③は、それこそ数は無限にありますが、選ぶのが大変です。見積もりを依頼して、しつこく営業されたり、仕事ぶりが見えづらいなどのデメリットもあります。
個人的には、まずは「依頼するか分からないけれど」とか「他の業者にも見積もり頼んでるけど」と断った上で、①・②で当たってみる。
それで上手くいかなければ③というのがオススメです。
業者を選ぶポイント
業者によって、HP自体のクオリティ・費用・コミュニケーション力・スピード・人柄など様々です。
また、大きな制作会社からフリーランスまで規模も違いますし、会社に勤めながら副業でやっている人もいます。
何を重視するかは人によって違うので、一概に「こういう業者が良い」とは言えません。
ただ、業者のポートフォリオ(過去に制作したHP)を見るのは必須です。
その時点で自分とは合わないと思ったら、依頼を止めましょう。
また、見積り依頼や相談の段階で、Zoomやメッセージのやりとりをして、そこでの対応を見るのも大事です。
例えばレスポンスが遅いとか、質問に対してちゃんと答えてくれないとか、言葉遣いや礼儀がおかしいといった場合は、要注意です。
依頼すれば一定期間の付き合いになるので、やはり相性は大事です。
士業に詳しい業者に頼むべきか?
士業に詳しい業者に頼むほうが良いです。
ただ、士業に詳しいだけでは不十分です。
結局は総合評価で、士業に詳しくなくても、デザイン力やライティング力など他の要素で選ぶのもアリです。
手前味噌にはなりますが、僕は弁護士なので、「話が早い」と言っていただくことが多いです。
下記記事でも、詳しく解説しております。
【注意】サーバー・ドメインの契約を業者名義にしないように
HPに使っているサーバー・ドメインの契約者が、HP制作業者になっているとリスクが高いです。
そのドメインでメールアドレスを作っている場合は、それもリスクが高いです。
これからHPを作る方は、可能な限りご自身の名義で契約してください。
既にHPをお持ちの方は、契約名義を確認してください。もし業者名義になっていたら、何かしらリスク管理をするのがオススメです。
詳しくは下記記事で解説しております。
当事務所のHP制作について
まとめ
士業がHP制作(新規制作またはリニューアル)を考えた時に必要な手順、抑えるべきポイントなどをまとめました。
- HP制作の目的を考える
- 自分で作るか、業者に頼むか決める
- 予算・デザインイメージ・載せることなどを決める
- 制作業者を選ぶ
これらのステップに沿って、進めてみてください。
見積もり依頼やご質問など、ご遠慮無くお問い合わせください。